誰だって、定年過ぎてから家の手入れに大金はかけられない。しかし、30代、40代で家を建てる場合、そんなことまで考えている人は少ない。「30年もてばいいですよ。ローンの返済がちょうど30年ですから」最初の設計打ち合わせで、こんなことを言う夫までいる。40歳で家を建てたとして、30年たてば70歳。70を過ぎて家がボロボロになったとき、いったいどうするつもりなのだろう。夫が死んだ後、たった1人残された妻はどうすればいいのだろう。
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子どもたちはほんとうに頼りになるのか。老いて住みかをなくした老親を引きとり、同居住宅に建て替え、ちゃんと面倒をみてくれる保証はあるのだろうか。人生の値段を懸けて建てた家なのである。一世一代の買い物、いちばんたいせつな財産ではないか。子ども部屋より何よりも、夫婦が死ぬまで安心して暮らせる家でなくては困る。100歳になっても達者で暮らす老人がいくらでもいる時代なのである。家さえあれば。自立して生活するほうがいい。30年しかもたない家では話にならない。